Story #03
ファンに楽しんでもらう
同じ方向をみて
作品の幅を広げていく
w/ SLAPSLY (CHIYU)
ソロプロジェクト「SLAPSLY」としてライブを中心に音楽活動をするCHIYUさん(以下、CHIYUさん)が発表されたEP「RELAXED」の曲のアレンジを株式会社アットチュード(以下、アットチュード)にご依頼いただいたことから本プロジェクトがスタート。
CHIYUさんは、藤原、SARSHIと20年来の音楽仲間でもあり、アットチュードメンバーとも旧知の仲。
今回は、CHIYUさんと本プロジェクトを担当したアットチュードメンバー江田一遊(以下、一遊)、SARSHI、YAMATOとともに、藤原も交え、制作中のエピソードをはじめとしたさまざまなお話を聞かせていただきました。
WORKS
EP「RELAXED」| SLAPSLY
2025.3/26(水)発売
https://amagasaki-rockstar.com/contents/894997
CD収録曲:
1. 「L」
2. Nothing is Over
3. Gift
4. ESPOIR
5. Fanfare
※収録曲は「通常盤」「限定盤」共通
「Gift」を除く4曲の編曲をアットチュードメンバーの江田一遊、Kyrie、SARSHI、YAMATOがそれぞれ1曲ずつ携わる。

「SLAPSLY」
ロックバンドSuGのベーシストとして2007年活動開始。2010年にメジャーデビュー。2017年9月2日、日本武道館公演を以てSuGは無期限活動休止に入るも同年12月20日には解散。約10年間のバンド活動に終止符を打つ。解散後、間髪入れずに同年12月27日よりソロミュージシャンとして活動を開始。名前表記を【CHIYU】とし心機一転ゼロからの再スタートを切る。2018年、Vocal & Bassというスタイルで歌手デビュー。自身の好きなJ-POPをベースに作られる楽曲と甘い歌声が、バンド時代とは全く違う独特の世界観と音楽性を確立した。また、音楽のみならず、ドラマと舞台「御茶ノ水ロック」に主要キャストとして俳優デビューも果たした。ソロでのライブ活動やCDリリース、様々なバンドのライブサポートなど行い、2023年9月、ソロ活動5周年を機に個人名CHIYUからソロプロジェクト【SLAPSLY(スラップスライ)】と呼称を変え活動スタート。現在もライブ活動を中心に精力的に活動を続けている。
〈 SLAPSLY 公式サイト〉
https://amagasaki-rockstar.com/
音楽を通じた
20年来の仲間とともに
新しい“曲”の可能性を探る
- CHIYUさん、アットチュードのメンバーとの関係性を教えていただけますか?
-
CHIYUさん
ZeeF(藤原)とSARSHIとはもう20年来の関係性で、地元関西で一緒にバンドをやっていて、一緒に東京に出てきた仲間で、いまもこうして音楽を通じてつながっていて、切っても切れない縁です。今でも、たとえば、機材のトラブルがあるとすぐに電話をしてしまうくらい。音楽で困ったときにいつも助けてもらっています。そこから、アットチュードのメンバーともつながりました。今回のように、アレンジをお願いするのは、自分がソロ活動をしはじめてから増えてきましたね。
- 今回、アレンジをアットチュードに依頼した作品「RELAXED」はどんな作品ですか?
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CHIYUさん
昨年(2024年)につくった「EXCITED」との二部作として制作しました。「EXCITED」を陽、「RELAXED」を陰として、完全に対比になるようにしたくて。曲調だけでなく、歌詞や映像も含めて、対照的な世界観にしました。「EXCITED」を制作したときには、すごくカラフルな衣装でポップにつくって・・・ということができたので、逆に「RELAXED」は、これまでにないくらいに暗い歌詞にしてみたり、映像もゴシック系のイメージにしてみたりと、いろいろなことも試しながら制作することができました。
- アットチュードに依頼されたきっかけは何でしたか?
-
CHIYUさん
ソロ活動をはじめてから、いろいろな方にアレンジをお願いするのですが、アットチュードさんへの依頼は、やっぱり関係性が深いこともあって信頼できるのが一番ですかね。アットチュードメンバーそれぞれの好み、得意なことなどを含めたイメージが自分の頭のなかにあるので、「あ、この曲は誰にお願いしたいな」ということが、曲を制作した段階で、決め打ちできる曲もありますね。それに、曲のイメージを伝えるときも、自分が伝えた言葉からどんどんイメージを広げてくれるから、信頼して丸投げできます(笑)
-
「RELAXED」の曲別に
アレンジしたメンバーと
エピソードを
お話しいただきました
Track 1
L
作詞・作曲:CHIYU
編曲:CHIYU, YUJI, 江田一遊
一遊
この曲のアレンジはCHIYUさんからは一言、「自由にやってください」とのことだったので、自由にさせていただきました(笑)
CHIYUさん
そうでしたね。なんかいい感じに!って(笑)でも、以前に一遊くんにアレンジしてもらったときに曲のつながりを工夫してもらったこととか、一遊くんのイメージとかがあって、曲をつくったときから、この曲は一遊くんだっていう自分のなかでの確証があったんですよね。
一遊
それで「自由に!」とは言いましたが、実際デモを聴くと、かなり曲自体が仕上がっている印象があって。だから、デモの状態から何を残して何を加えられるかという観点で考えました。考えるうえでは、ビジュアル系という土台があるからこそ、ビジュアル系にないようなアレンジをいれようと想い、制作しました。
CHIYUさん
一遊くんから最初に届いたとき別の現場にいて、曲の中間にツーバスのキックの音がすごい感じで入っていて「いきなりこんな(予想外)のが来た!」って一人で大爆笑して(笑)でも、おもしろいと思って、その現場にちょうど一緒に演奏するドラマーがいたから確認したんですよ。「これ、叩ける?」って。そうしたらドラマーから「嫌です」って言われて(笑)でも叩けるってことだったんで、即採用しました。

Track 2
Nothing is Over
作詞・作曲:CHIYU
編曲:CHIYU, YUJI, Kyrie
(Kyrieは取材時には不在)
CHIYUさん
Kyrieさんはもうスーパーギタリストで、Kyrieさんのフレーズは聴いただけで「これKyrieさんだな」とわかるような。でも、ただ安直に超絶技法を入れ込むのではなくて、歌を聞かせたい部分は聞かせるようにメリハリもつけてくれる方ですね。それで、テンポの早い曲とかは「Kyrieさんのギター欲しいな」と思うことが結構あって、この曲はまさにそんな発想でお願いしました。この曲でいうと、シンセサイザーのような超絶タッピングが最高です(笑)
Track 4
ESPOIR
作詞・作曲:CHIYU
編曲:CHIYU, YUJI, SARSHI
CHIYUさん
この曲はめちゃくちゃにしてくれって言いました(笑)
SARSHI
はい(笑)特に、曲の後半に、いろいろな展開がパッと出てくるんですけど、普通にアレンジをするのではなく、自由にやらせてもらいました。そのほかに、制作中に意識したのは、アーティストの自分というよりは“アットチュードメンバー”としての自分でいたことですね。たとえば、アットチュードの別の案件で培ったフレーズの発想を活用したりしました。といいつつも、ライブではこういうノリにするんだろうなという想像もしながら、ライブで盛り上がることを意識しました。
それでこの前、実際にライブでこの曲をSLAPSLYで演奏しているところを見たんですけど、ライブバージョンと言えるようなさらなるアレンジがかかっていて、それを見たときに、自分で制作したときよりも、さらに良くなっていてファンの方々も盛り上がっているから、おもしろかったし嬉しかったです。
CHIYUさん
めちゃくちゃにしてくれた分、ライブでどうするか、相当悩みました(笑)ライブバージョンとして照明の暗転とかも活用したり、たとえば曲の最後の部分をファンのみんなも交えてみんなで歌えるようにしたり。その結果、曲の展開もよいし一体感も出るし、すごく盛り上がるいい曲になりました。

Track 5
Fanfare
作詞・作曲:CHIYU
編曲:CHIYU, YUJI, YAMATO
藤原
この曲は、「EXCITED」「RELAXED」二部作のラストを締めくくるから、エンディング感が出るような広い世界観を表現できる曲にしたいっていうオーダーだったと思います。それで、この曲はまだCHIYUの曲のアレンジをしたことがないYAMATOをアサインしたんですよね。YAMATOくんは、本職はドラマーだけど、ギターやピアノ、ドラム以外のいろいろな楽器も弾けるっていうのがいいなと思って。広い世界観を表現するために、いろいろな楽器のことを理解して、リズムも怖がらずに大きくとれるし、向いているなと思いました。あとは、CHIYUもYAMATOも音楽的なルーツとなるアーティストが一緒っていうのもありましたね。
CHIYUさん
さっきYAMATOくんと話していて、音楽をはじめたきっかけがお互いGLAYさんだったって初めて知りました。だから、感覚合うんだなって(笑)
YAMATO
自分もそう思いました(笑)やっぱり、曲をつくったりアレンジをしたりする際に、自分の音楽的な育ちは無意識的に出てしまうので。たとえば、この曲でも、ストリングスだけになるパートがあるのですが、ちょっとGLAYさんの曲にある音の組み方と似ているところがあるなとのちに思いました。あとは、一番時間をかけたのが、曲の冒頭の音色選びですかね。広い世界観のなかで、ストリングス部分でもバンド演奏部分でもないパートで、気を使わないと音として抜けてしまう恐れがあったので、この部分は1日中音色選びをしていました。
CHIYUさん
聴かせてもらったときには、もう自分の心にすっと入り込んできていて、「あんまりこうしたい」とかって部分がなくて、すぐにOKさせていただきました。

自然に表現される
それぞれの個を大切にして
作品としての幅を広げる
- 今回のアレンジを行うにあたって、制作中にCHIYUさんとアットチュードさんではどんな話をされましたか?
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CHIYUさん
自分のコンセプトアルバムなので、もちろん、最初にアルバムのテーマなどは話すようにしています。でも、それ以上は、言わなくてもそれぞれの役割はわかってくれているという共通理解があるから、すごく話しながら詰めていくということはしていなくて、そのままそれぞれの曲の制作をする流れになりますね。
-
藤原
たとえば、バンドでステージにあがっているときに、それぞれのパート、ポジション、キャラクターを理解して、それぞれの役割に徹することができるのと近いですね。そこは、ミュージシャン出身のクリエイターもいるアットチュードの強みかもしれないです。
- コンセプトの伝え方って難しいと思われますか?詳細に伝えすぎるとイメージが固まりすぎることがないかなと思いまして。
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CHIYUさん
これはソロプロジェクトだから思うのかもしれないですが、コンセプトから離れたら離れたで、それも作品の幅として、対応できるし、その逆も然りですね。みんなプロなので、仮にイメージが固まっていても、自分のイメージ+αで応えてくれるので、あんまり気にしていないです。希望でいえば、とにかく自分にない引き出しがほしいから、みんなにやりきってもらいたいというのが強いです。
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藤原
最終的にあがってきたものに対して、咀嚼しながら味を整えて自分のものにしている。それができるアーティストだからこそ、ほかの人にアレンジを依頼できるし、依頼していただくうえでも一番楽しんでいただきたいところですよね。
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CHIYUさん
昔は、いろいろな制限を設けることで自分の首を締めてしまって、結果的に、広がりのない曲になってしまってもう演奏できないなと思ってしまう曲もありましたけどね(笑)でも、最近はドンと構えて、どんな曲やアレンジでも楽しみながら自分の作品にすることができるようになりました。
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SARSHI
ぼくも共感しますね。やっぱり若い頃はある程度表現を狭めて考えていたりもしたけれど、今は、自分たちでやっていれば、なにを表現しても、自分たちの個性が味としてそのまま出るでしょうってなっていますね。
- そのほかに、アットチュードに依頼をして感じられたことはありますか?
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CHIYUさん
あとは、アットチュードメンバーはみんな、とにかく納期が早い!自分のライブがはじまる前に、少し調整のお願いをしたら、ライブが終わったときにはもう調整案が届いているんですよ。
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藤原
そこは、うちは自信を持っていますね(笑)納期もそうですが連絡があったときのリプライの速さですね。
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CHIYUさん
甘えるわけではないけれど、こっちも制作しているときとか、思いついたときに連絡するから、覚えている間だったり、熱が冷めない間だったりに、レスポンスをくれるから、本当に信頼できます。今回、自分でも「やばいな」と思えるような、絶望的なスケジュールだったのですが、そのスケジュールでも、先回りして自分にある程度の余裕ができるように一緒にスケジュールを考えてくれて、そのときは本当に肩の荷がおりました(笑)
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藤原
僕らのゴールは、制作した曲を納品することではなくて、今回であれば、CHIYUが発表した曲を聴いてくれるファンの方々に喜んでもらうことなので、そうすると、スケジュールの考え方も、曲制作の考え方も変わってきますよね。
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クリエイターとして
ミュージシャンとして
両輪のバランスを楽しむ
- なにを制作するにしても、どこを見据えてつくるかって一番大事ですよね。
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SARSHI
繰り返しになってしまうんですけど、ぼくはCHIYUのライブを見て、CHIYUのファンの方々はこういう楽しみ方をするんだなというのがわかっていたので、それを前提に、ファンがライブで盛り上がるイメージを浮かべてアレンジをしましたね。それは、見ている先、ということもあるのだけど、やっぱりアットチュードがミュージシャンでありクリエイターでもあるという点は大きいかもしれないですね。
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YAMATO
いまの話と関連しますが、CHIYUさんから依頼はされたけれど、逆の立場になることも十分あり得るので、CHIYUさん側の立場になって考えることもできて。そうすると、「こう動いてくれると嬉しい」とか「こういうふうに応えてほしい」とか、そういうことがわかるというのは、やっぱり強みかもしれないなと思います。
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一遊
ぼくもファンの方々が楽しんでくれて、少しでもプラスな気持ちになってもらいたいっていう気持ちは一緒なのですが、もしかしたら考え方は違うかもしれないですね。ぼくは、音楽が好きで、これまで続けてきたからこそ、自分の好きなものをやってこその仕事だろうというのが根本にあって。だから、まずは自分の好きなもの、いまの自分の100%を発揮して、それで喜んでくれたら嬉しいですし、でも、依頼をくれているCHIYUさんから仮にリテイクがきたら、それはそれで、依頼してくれているので「もちろんオッケーです」というかたちで調整していくというアプローチで制作している気がします。
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CHIYUさん
それぞれ、少しずつ違うかもしれないけれど、ミュージシャンとクリエイターの両輪が活きているんですかね。すごいし、話まとまったね(笑)
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- 最後に、CHIYUさん、今後挑戦したいことはありますか?
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CHIYUさん
まず自分の活動としては、2周年のワンマンライブがあるので、そこでこの二部作をしっかりやりたいなと思っています。あとは、きっとそのライブを通じて、もっとパワーアップしないといけない点も見えてくると思うので、それを越えていって、いい作品を増やしていきたいと思っています。
あとは、今回はアットチュードのみんなが、SLAPSLYのフィールドに参加してもらったけれど、逆に、みんなのフィールドに自分が入っていくのもおもしろいよねって話していますね。たとえば、「ゲームのBGM用にベースを弾いて!」とか「歌って」とか。いつもやってもらってばっかりなので。あとは、アットチュードメンバーと自分で、楽器も揃っているからバンドも組めますね(笑)
AFTERWORD
クリエイターとして、ミュージシャンとして、そのバランスを行き来しながら制作することこそ、アットチュードの強みだとあらためて感じた。
「あなたのための、すべての音を」という理念にある“あなた”とは誰か──今回は、深い関係性を持つCHIYUさんと、同じ方向を見据えて制作できた。その環境だからこそ、良い音楽が生まれたのだと思う。
一曲ごとの色と個性が際立ちながらも、アルバム全体でひとつの物語として広がる世界。CHIYUさんも、そして作品自体も、ライブでさらに成長し、聴く人の心に届いていく。その未来を想像するだけで、これからのステージが待ち遠しい。

今後も、音楽を通じてさまざまなことに挑戦していきたいと語るCHIYUさん。
私たちアットチュードも引き続き『SLAPSLY』を応援し、共に新しい挑戦を重ねていきたいと思います。