サウンドクリエイターの持ち物

この項ではサウンドクリエイターの持ち物として便利な物についてまとめています。
サウンド特有の意外な使い方をする物などもあり、覚えておくととても便利です。


マスキング(ドラフティング)テープ


マスキングテープとはスプレー塗装などをする際に、塗装をかけたくない箇所を一時的に覆っておくためのもので、サウンド用途では「ミキサーのチャンネルの割り振りをメモする」「ケーブルなどに振り分けをメモする」などに使います。

スタジオのミキサーはチャンネルの割り振り方が使用者によって違いますし、自分のマシンのミキサーやケーブルも誰かが使うときに割り振り方が分かるようにしておく方が良いためです。
また、それ以外にもこのテープは貼って剥がしても糊が残らず綺麗に剥がせるため、バックアップ用のハードディスクに内容を記載して貼り付けたり、誰の持ち物か分かりやすいように名前を書いて貼るなど、非常に便利です。

このテープはTOKYU HANDSや文房具屋さんなどにある3Mというメーカーのものが一般的です。


布のガムテープ


これは普段から持ち運ぶ必要はありませんが、「レコーディングの現場に立ち会ったり、公演のお手伝いを頼まれたりする場合」は持っておくと便利です。
場見ったり(場見る=レコーディングの際の立ち位置や、ライブ転換の際の機材の場所に印をつけること)、何かを固定したり(抜けると危険なケーブル、お辞儀してしまうマイクスタンド、イヤモニなど)でとても便利です。公演用でしたら目立たない黒色のものにしましょう。

布のガムテープである理由は、紙よりも耐久力があるという点、手で切れるのでハサミが必要ないという点、また紙のガムテープは剥がした際に綺麗に取れず対象物を汚してしまうため役に立たないためです。


付箋


何の変哲もないコンビニや100均で売っているもので十分です。
用途ですが、

  1. 本や資料の気になった箇所、訂正箇所の注意。見出しをつける。
    これは当たり前ですが付箋の本来の使い方です。
  2. 順番や取捨選択を考える時に使う。
    例えば何かコンテンツにBGMを使う場合、付箋に候補曲のタイトルを書いて順番や取捨選択を張り替えながら考える。
  3. 優先順位や目的を考える
    プレゼンや企画を考える時に有効な手段(昔ながらのサラリーマンの技です)
    例えば自分の今作っているものが、何の目的なのか、それによって何を表現するのか?などの思考をまとめるのに使います。

また、メモ帳くらいのちょっと大きめの付箋もありますので、それはToDoリストとしてメモした後、モニタ横などにぺタっと忘れないように貼れるので便利です。


電卓


サウンドクリエイターには手元に置いておくととても便利なものです。
ディレイタイムやループポイントの計算などに使うことが多いですが、打ち合わせでプログラマーさんと話をする際や、大量のデータについて計算する場合、納期や予算について計算する場合など、コンピューターや携帯電話の計算機能でとっさに対応できない場合が必ず出てくるので持っておくと便利です。


リファレンスCD


これは自分のサウンドの基準になるCDで絶対に自分なりのものを作っておいた方が良いです

スピーカーを設置する時、自宅や自分の机以外でモニターする時、新しく機器を買う時、どんな時にでも「判断基準になる聞き込んだCD」が必ず必要になります。

そしてこのCDは「人生で自分が一番好きで良く聞いているCD」「世間でこれはリファレンスCDの定番だと言われているCD」の二種類あった方が良いです。
何故かというと、「リファレンスCDは色々な音の要素が満遍なく聞けるものが適してるから、自分の好みのCDだけでは偏りがでる可能性がある」ということと、「エンジニアさんなどと話す際、共通言語として音の意図が伝わるCDがあると便利」ということ、もう一つは「定番のものでリファレンスしていると、こいつは分かってる奴だとハッタリが効く」という点があります。

僕の場合のリファレンスCDは、

○定番

  • U2「The Joshua Tree」
  • Peter Brian Gabriel「So」
  • Steely Dan「Aja」

○趣味

  • 竹内まりや「Impressions」
  • 宇多田ヒカル「ULTRA BLUE」
  • Björk「Greatest Hits」

などです。


ストップウォッチ


音声収録の際にオンリー(映像なしでリストのみでボイスを収録すること)で録音する際に、実際にゲームなどで使う際の尺に収まっているか計る、収録現場での時間管理を行う、ゲネプロダクション(本番を想定した通し稽古)の際に公演時間に収まっているかタイムキープする、などに便利です。


鉛筆削り刀と鉛筆


ポップスの収録ではあまりないのですが、譜面がレンタルの場合で後々返さなければならない場合など、シャーペンや鉛筆削り器で削った鉛筆では譜面を傷つけてしまいますので、小刀で削り丸めておいた鉛筆があると便利です。
それ以外の場合は譜面の書きやすさ優先でステッドラー社製のシャーペンなどが便利です。

藤原章人(ZeeF)
株式会社アットチュード 代表取締役/マニピュレーター/サウンドクリエイター/ BGM、効果音、音声組み込み、音声ROM管理、ミキシング、音声ディレクション担当。 北海道美深町生まれ、兵庫県西宮市出身。 報徳学園高等学校卒業後、バンド活動を経て2000年からサウンドクリエイターとして活動開始。 パナソニックシステムソリューションズ社のゲームコンテンツ(ゴルフやり隊、馬リオンなど2003年以降の全タイトル)のBGM、SE、サウンドプログラム制作を行いながら、 関西の複数のメーカーのコンシューマーゲーム、遊技機のサウンド制作に携わる。 関東に拠点を移してからはロックバンドのメンバーとしてマニピュレーターを担当し、多くの大規模会場にて公演を行いつつ、クリエイターとして複数の会社と数多くのアミューズメントやゲームサウンド制作、コナミ人材養成所での非常勤講師などを行う。 一般社団法人 日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ正会員。